鳩おじさんは、いつも橋の上で、鳩に食パンをあげている。
おじさんの袋の中には、食パンが 1 斤入っていて、それを鳩たちに大盤振る舞いしている。
だから鳩たちはおじさんが大好きで、おじさんの肩にも頭にもとまっている。
ホリーもこのおじさんがだいすきだ。
なぜならば、気前よく食パンを振る舞ってくれるから。数日前にお会いしたときは、食パンほぼ 1 枚分をむさぼり食べた。
今回は、おじさんのパンはすべて鳩のお腹におさまった後だったらしい。
「残念だったね。パンもうなくなっちゃった」
それでも、おじさんの袋の匂いを嗅ごうとするホリーの身体を確保しながら、正直ほっとする。
甘やかされっ子のホリーとはいえ、食パン 1 枚も食べるのはさすがに多すぎる、身体によくない。
この間は、おじさんのパンに夢中で食らいつくホリーにはらはらしつつ、「あげないでください」とはやはり言えなかった・・・。
おとーさんが買ってきてくれた犬用のパンに食らいつくホリー。
パンをこよなく愛しています。
「こないだお母さんに会ったよ」
とおじさん。
お母さん? 私の実の母は山口県にいる。義母のり子は神奈川だけれど、こちらに出没することは滅多にない。
「お母さんとそっくりね」
えーと。こないだおじさんと出会った私とそっくりな人・・・、それはきっと、私です。
誤解が解けて、愛想笑いを交わすおじさんと私。
しかしここで問題なのは、
前回の私が老けて見えたのか、
今回の私が若づくりして見えたのか、
ということ。
答えは、あまり知りたくはないや・・・。